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第803回 大学生

 今年初めての仕事は⼤学⽣でした。それも4年⽣で3⽉には卒業、4⽉に就職がほぼ決まっている⼈達の授業です。この話が持ち込まれたのは、2025年度のオンラインセミナーのりんごの⽊のミーティングにご登壇いただいた下⽥好⾏先⽣のお声かけです。下⽥さんはかなり以前から、⼦どものミーティングに関⼼をお持ちになり、学⽣の論⽂ばかりではなく、ご⾃⾝もお書きになり発表して下さいました。
 今は定年退職後、⾮常勤講師として三つの⼤学で教えています。
 その中のひとつの T ⼤学の授業をとの依頼でした。「対象⽣徒は教育学科の⼈間発達専攻の学⽣で、中⾼校の社会科の教員免許を取得しようとする 4 年⽣。既に教育実習は終わっています。幼児教育を学んではいません。教育の⼼というか本質についても理解しているとは⾔えない感じです。先⽣の講演で、教育の眼を開かれたらよいと考えております。」というご主旨で、テーマは「⼼に添う教育」で⼀時間半。哲学科の学⽣も参加しますというおまけつき。
 さあ、困りました。お引き受けしてから何の話しをどんなふうにしたらいいのか、全く思いつきません。⽇が迫るに従って、私が⼤学の授業をできるわけがないことを⾃覚。パワーポイントも資料もなしで、保育のこと、教育のこと、主役はすべて⼦ども⾃⾝にあること、⼦どもを信じることなど、53年の積み重ねてきた今の⾃分を語るよりないと覚悟が決まりました。
 それに話しというのは相⼿があってこそのこと、学⽣がどんな⼈達なのか会ってみないとプランは⽴てられないとも思い、簡単なメモだけで出向きました。
 ⼤きな四⾓い建物、厳重な校⾨の前には警備員さん。ここでビビりました。⼤学⽣はこの威圧的な建物に毎⽇⼊っていくとき、⾃然体でいられるのだろうか? ⼊り⼝に下⽥さんが迎えに来て、⼀緒に校内へ。
 学⽣は怖くはなかったですでもおとなって感じがしますこの⼈だれ?という眼差を受け「あなたは保育園だった 幼稚園だった 何か覚えている?」と⾔うことから聞いていきましたら怒られた話し誉められた話しをしてくれてその続きでどんどん私⾃⾝の事や保育のエピソードを語りました。私が中学の先⽣に窓を開いてもらったこと、やっぱり教師の⼈間性が⼦どもの⼼に伝わるので、教科書の教え⽅より⼦どもへの気にけ⽅が⼤事かもと。あっという間に⼀時間越えで、質問を受ける時間になりました。
「興味のあることから学ぶと⾔いましたが、なにもやることが⾒つけられない⼦はどうするんですか?」

「歳をとっても、どうして柴⽥さんはそんなに⼦どもの気持ちがわかるんですか?」
「幼児時期に保育園とか幼稚園とか、お勉強してきたとか差があったのを記憶しています。そのことが中⾼になるとどういう差になっていくんですか?」
「廊下を⾛る⼦は、⾛ってはいけないということが理解できないんですか?」
どれも⼦ども関係や保育科では出てこない質問で、刺激的でおもしろかったです。学⽣はその場でスマホ?で、感想を書いて先⽣に送っていました。そんな時代です。私も⾒せていただきましたが、みなさん真剣に聞いて下さった感想が書かれていました。
 やっぱり、いろんな分野の⼈と交わる事って⼤事ですね。当たり前になってしまっていることを、改めて問い直す機会にお互いになったと思います。同じ社会に⽣きているのですから、視野は広い⽅がいいですものね。
 でも、⼈間のスタートのときの保育の仕事は、やっぱりいいとも思いましたけどね。(2026.1.12記)