instagram

第796回  いまどき? びっくりぎょうてん!

 急に寒さがやってきました。金木犀の香りがどこからともなく漂ってきます。
 かなり昔ですが、この香りを「あ、トイレに匂いだ!」といいながら歩いていた小学生を思い出します。
 今回は最近びっくりぎょうてんしたことをお話ししたいです。
 その一はなんといってもこれです。
 朝のラッシュ時の山手線のホームです。どうしていまでもこんなに混むのか、二分おきに来るのに、昔と変わらないぎゅうぎゅう詰めです。ドアーが開く場所に二列で行儀良く並んでいます。その先頭の女性が、立ったままお化粧をしているじゃあありませんか! 電車の中で座って化粧は、見慣れてきましたが、ホームで立ったままには驚きました。家を出る前に時間がなかったのか、はたまた、なにもせずに待っている時間を有効に使っているのか、どうなんでしょう? 公衆の面前で自分の顔が変化していく様を見せているという自覚はさすがにないでしょうけどね。
 二つ目は、ほどほどに混んでいる電車の中、私はゲットした優先席に座りました。右二人は若い女性です。だいたいの人はスマホ依存症の現代ですから、目はうつむいて釘付け。そこへ、足を引きずって荷物を持ったおじさんが乗ってきました。優先席をちらっと見ましたがあきらめて少し離れたところに立ちました。すると、右に座っていた女性が立ったんです! おや、偉いじゃない。もはや、当たり前のことを偉いと思う自分がいます。ところが、その人は立ったのですが、おじさんに声をかけないので、おじさんは席をゆずられたことに気づきません。おまけに彼女は、違う方へと歩いて行ってしまいます。これでは折角の気持ちが伝わらないどころか、他の人に席を取られてしまいます。やきもきの私は「あの〜」と、半分腰を浮かせておじさんに手招きして知らせました。おじさんは彼女のことは気づかずに座りました。どうして「ここどうぞ」と言わなかったのかしら? 立つ勇気はあったけど、声をかける勇気がなかったのかしら? 声を出せない若者は多くなっているのはどうしてなのかしら? 
 さて、三つ目です。この頃私は膝が痛く、脚が疲れやすいので、駅から家までタクシーを使うことが多くなりました。最寄りの駅は古い街で年配の人が多く住んでいますので、タクシー乗り場は人が並んでいることが多いです。駅にスーパーマーケットがあるので、両手に買い物したものを下げた年寄りが並んでいます。ベンチがあればいいのにないのです。この日、7人くらい並んでいました。ちっともタクシーが来ません。すると、前にいた女性がスマホをいじりながら、列から出て行きました。やがてほんの数歩先にタクシーがやってきて、その人は乗っていきました。私の後ろには大きなトランクをもった外国の人がいました。その人も列から外れ反対車線にやってきたタクシーに乗って去って行きました。そうなんです。スマホでGO。私の前は腰を曲げたおじいさん「ちっともきませんね」と声を掛けあいながら待っていました。やっと、私の番がやってきて「ちっとも来なくて待ちました」と運転手さんに言うと、「GOにもっていかれちゃうんですよ」とのこと。タクシー会社と契約しているのは、そちらが優先になっているそうです。時代が進化していくと、ついていけない年配者が辛い思いをするってどうなのかしら?同時にタクシー乗り場に並んでいる人の脇で、平気で乗っていく人の神経も疑ってしまいますが、そんな常識なんてもはやないのかしら?
 便利は誰が便利なのか、便利の背景に不便を誰かに押しつけていないのか考えたいことです。
 今回は、年寄りからの苦言のようになってしまいました。ご意見があればどうぞおっしゃってくださいね。(2025.10.19)